私たちの心を豊かに満たしてくれる1杯のコーヒー。コーヒーは長い年月をかけて大切に育てられ、私たちのもとに届きます。
この秋のおすすめのコーヒー「スターバックス® コロンビア サンタンデール」の生産地である、コロンビア北部のサンタンデール県でコーヒーを栽培する3人のストーリーをお届けします。
“Do things right” 正しいことをすること
GERARDO MARTINEZ MEJIA
2050年には世界のコーヒーの需要は3倍になるとも言われています。その需要を満たすためには今よりもたくさんの栽培面積が必要です。でもその一方で、コーヒーは気候変動による影響を避けられません。特に比較的に高度の低い場所にある農園で深刻な問題を引き起こしています。気温の上昇は害虫の増殖につながり、降雨量の増加によりコーヒーの木の病気であるさび病が発生しやすくなるなど、気候変動のリスクが増しています。
サトウキビからコーヒーへ
サンタンデール県コンファインズの農園「El Triunfo (勝利の意)」のオーナー、ジェラルド マルティネス メジアは、唯一「一生懸命に働くこと」を両親から教えられて育ち、その通り、勤勉と努力によって、13年前に4ヘクタールもの農地を購入できたと言います。購入した当時は、草が生えているばかりで、木も作物もなかったので、ジェラルドはまず、収穫サイクルの早い作物とサトウキビの栽培からスタートしました。ジェラルドはサトウキビに恋をしました。よりたくさんのサトウキビを植えるため、近くに土地をどんどん借りていきました。7年前にはコーヒーの木も植え始めましたが、その時はサトウキビにすべてを注いでいたため、あまり気にかけていませんでした。ある日、お金が底をつき多額の借金を抱えていたことに気づくまでは。
ジェラルドは失意の中で、再びコーヒーの木を植えました。技術面での支援を受け、これまでより高い価格でコーヒーの販売ができるようになりました。技術者のアドバイスに従ったことで、生活費を賄い、借金の返済ができるまでになりました。そして最近、近くに1ヘクタールの土地を購入することができました。今は、新たなコーヒーの木を植えられるように、土地の整備を行っています。ジェラルドは当初、コーヒービジネスを理解していなかったことを後悔しながらも、妻とともに、楽しく作物の管理をし、ここまでやって来られたことにとても満足しています。そしてコーヒーは、植え付けの段階から、投資額以上の確実な回収が期待できると確信しています。
正しく栽培することがコーヒービジネスを成功に導く
「スターバックスとC.A.F.Eプラクティス(※)に感謝しているんだ。実践的な栽培方法のアドバイスが常に受けられるようになり、自分のコーヒーにプレミアム価格が支払われるようになった。C.A.F.E.プラクティスは、コーヒーの栽培により、私たちの暮らし向きが良くなることを示してくれた」
ジェラルドの次の課題は、1ヘクタール毎に、2,500本のコーヒーを栽培すること。そして、日陰栽培の改良とコーヒーベリーボーラー(害虫)対策です。高温で低地の農場は、コーヒーベリーボーラーが増殖する好条件なのです。「住居のバルコニーの増改築や、水洗式加工場の拡張、加工工程における水量削減が可能な新技術を搭載したエコミルの購入やコーヒー豆選別用の機械も購入したい。やりたいことがいっぱいだよ」。ジェラルドは、コーヒー生産者になったことで、信用力が向上し、経済的支援が受けやすくなることを確信し、妻にも事業に参加してもらうことにしました。妻は、農園の従業員への食事の提供、コーヒーの水洗式加工・乾燥工程、さらには経理を担っています。一方、農園の従業員の管理、農場での作業はジェラルドが担当しています。「とても楽しい良いチームだよ」と彼は言いました。
収穫期には6~8名、それ以外は、掃除や日陰をつくるシェードツリーの管理、施肥など、作業毎に最大4名の従業員を雇用しています。今、ジェラルドの最大のチャレンジは、収入を増やしより良い暮らしができるように農園を常に最適な状態に保ち、コーヒーの生産性を向上させることです。
「コーヒーの木を植えて、正しく栽培できれば、良い生活ができると他の人々にアドバイスしていきたい。周りの人に模範を示すことで、彼らにも正しい栽培方法を取り入れ、収入を増やしてもらいたいからね」
気候変動の影響を抑えるファーマーサポートセンターの取り組み
ジェラルドも取り組んでいる気候変動は、コーヒーの品質にも影響を及ぼします。長期化する干ばつや雨がコーヒーチェリーの熟成プロセスに影響を与え、本来の味わいを十分引き出せず、ナッツやチョコレートのフレーバーなどのコロンビアコーヒーの特徴的な風味を得ることができなくなってしまいます。そういった影響を抑えるため、2012年にコロンビアの中部のコーヒー生産地域であるマニサレスに開設したファーマーサポートセンター(※)では、4人のアグロノミスト(農学者)が、各地のサプライヤーと連携し、C.A.F.E.プラクティスの普及を進め、在来植物を日陰をつくるシェードツリーとして活用したり、害虫や病気に備える生物学的な方法を導入したりしています。今では国内の66万ある農園のうち、、11万の農園でC.A.F.E.プラクティスが実践されています。
私たちがこれからもずっとおいしいコーヒーでホッとできる大切な時間を持ち続けること、ジェラルドさんのような生産者がコーヒーによって家族と幸せな時間を過ごせることのために、これからも取り組みを進めて行きます。
※C.A.F.E. (Coffee And Farmer Equity)プラクティス
国際環境NGOコンサベーション・インターナショナルの協力により2004年に導入した、長期的に高品質なコーヒー豆の生産を実現する
ための調達モデル。生産性と環境負荷を抑えることを両立し、コーヒー生産者および生産地域の暮らしをより良くする栽培方法として、これまでに世界100万人を超える生産者と取り組みを進めている。
※ファーマーサポートセンター
C.A.F.E.プラクティスの実践を直接サポートするため、コスタリカ、コロンビア、ルワンダ、エチオピア、インドネシアなど世界9か所のコーヒー生産地に設置。土壌と栽培の専門家であるアグロノミスト(農学者)が、伝統的な生産方法を用いて、生産者のコーヒーの品質向上、収益改善の支援を行っている。2013年にはコロンビアのハシエンダ アルサシア農園にリサーチセンターを開設し、世界的な気候変動の影響を想定したコーヒー栽培の研究開発を行い、オープンソースで情報提供することにより世界中のコーヒー生産者をサポートしている。
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