心と心の距離は近く 一人ひとりのあたたかい気持ちが一本の線につながって、コミュニティの大きな力に vol.2

このカップを手掛けた、太田翔伍さん。

人の想いをぬくもり溢れる一本の線で描いてきたアーティストです。

そんな太田さんに第2弾のカップのお話を伺いました。


――今回展開したカップのデザインのこだわりを教えてください。

 コーヒーがカップに注がれていくに連れて、気持ちが高まっていくように、段々と人が増えていくよう意識して描きました。

 4月に登場した最初のカップは、「スタート」がテーマです。未来をつくる子どもたちが地球を支えているのは、みんなで地球のことを考えようというイメージです。また、PRIDE月間に合わせてLQBTQの象徴であるレインボーフラッグを持っている人なども描きました。

 今登場しているカップには、人の力強さを打ち出しています。全力で応援している女の子や、スターバックスの最年長パートナーにモデルとして登場してもらったり、日本文化を表現した着物を着ている女の子、カメラを持っている人など、子どもからお年寄りまで、さまざまな世代や文化、職業の人たちを多様に組み合わせて表現しました。


――制作する上で苦労したのはどんなことですか?

 比較的スムーズに取りかかれたんですが、進めていくなかで、数種のカップのデザインを通じて受け取ってほしいことや、今回のテーマに合った個性的な人々や出来事を、バランス良く入れてカップの上で表現するというのが、いちばん難しかったです。

 僕のアートでは、説明がいるようなものは作りたくないので、「人がひとつになって何かできる」ということを表現したかった。アートのスタイルも一本の線でつなげれば簡単に表現し、理解してもらえるんじゃないかと思ったんです。

——太田さんがこのカップに描いたような、一杯のコーヒーが人と人の心をつなぐと感じたご自身のエピソードを教えてください。

 アメリカのスターバックスのカップを制作したときに、たくさんの方からメールをいただきました。その中で、今でも忘れられないのが、アメリカに移住した、あるおばあちゃんからのメールです。

「カップを見て、とてもハッピーになりました、孫が大きくなってもこのようなメッセージをたくさんの人たちが伝え続けて、素敵な世の中になってほしいです。このカップを作ってくれてありがとね」

 という内容でした。自分のアートが人の心に響いたこと実感して、感動しましたね。

 また、ニューヨークで壁画の仕事をしていたときに、パートナーさんがコーヒーを入れて、わざわざ僕のところまで持って来てくれたのもうれしかったです。

 4~5日間、1日何時間も描いていて、少し疲れていたときにいただいたので、一杯のコーヒーの温かさとおいしさ、やさしさが、じんわり染みわたったことを、今でも覚えてます。

 一杯のコーヒー、アートから、素晴らしいメッセージを伝えることは出来るんだなと、実感した瞬間でした。

 今回のこのカップで飲む一杯のコーヒーを通じて、人の心のあたたかさと強さを感じていただけたら、とてもうれしいですね。

[Artist Profile:太田翔伍]

岐阜県郡上市出身。高校卒業後、渡米し、アイダホ大学でアートを専攻。卒業後にシアトルのデザインスタジオに勤務した後、2012年11月に同シアトルにTireman Studioを立ち上げ独立。2016年米国大統領選の直前に結束のシンボルとして米スターバックスが発表したGreen Cupや、2018年のスターバックス コーヒー ジャパンで行われたYou & STARBUCKSキャンペーンなどを手掛けるなど、幅広く活躍中。


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