豆かすたい肥を利用して4年。「元気な茶葉になってきました」
あたり一面に清々しい香りの広がる、三重県四日市市、萩村さんのお茶畑。覆いの布をめくると、つややかに輝く若草色の葉っぱが現れました。
この見るからにおいしそうな茶葉は、スターバックスと深い結びつきがあります。このお茶畑のお茶は、お客様に提供した後に残るコーヒー豆かすから作ったたい肥で育てられているのです。
コーヒー豆かすたい肥で育った茶葉。品種は「やぶきた」
「コーヒー豆かすたい肥を使い始めて今年で5年目。お茶の木が変化してきました。良いお茶の木ってね、根がしっかり張って油分が出てくるんです。葉っぱも、グッと大きくてピカピカしたのが出てきます。この茶畑の茶葉は、元気だよってニコニコ笑っているのが伝わってきますよ」と、萩村製茶の萩村浩史(こうし)さんも茶葉を見つめ、笑顔がはじけます。
有限会社萩村製茶取締役・萩村浩史さん
抹茶の原料となるお茶は、覆いをかぶせて日光を制限し、ゆっくり育てることで葉にうまみを蓄えます。お茶の木自身にがんばってもらうために、重要なのが土づくりです。
「コーヒー豆かすたい肥を使うことで、時間はかかりますが土壌が改善されて、お茶自体の品質も良くなっていっています」(萩村さん)
スターバックスと目指す未来。コーヒー豆かすを大切に次につなぐ
萩村さんとの豆かすたい肥の取り組みは、2017年にスタートしました。
スターバックスの店舗を出発した豆かすは、充分に発酵させてたい肥になり、お茶を育て、フードやドリンクに生まれ変わってまた店頭へと戻ってきます。
スターバックスがコーヒーやフードを楽しむ場所であると同時に、原料となる農作物をつくるための資源を生み出す拠点になっています。
スターバックスから打診があった時、萩村さんはどんな思いで引き受けることを決めたのでしょうか。
「絶対にやりたい!と。消費して終わりではなく、循環して続いていく未来を目指そうとするスターバックスさんに協力できる。お声がけいただいて、とても嬉しかったです」と萩村さんは当時の心境を語ります。
萩村さんの茶畑のある三重県四日市市水沢(すいざわ)地区
鈴鹿山脈の麓で、1200年の茶栽培の歴史をもつ
萩村さんは、夏場、熱のこもってしまう茶畑に地球温暖化の影響を感じていました。同時に、小さいころからお茶とともに生きる中で、「すべての生物は土に還り、循環していく自然の摂理の正しさ」を実感していたといいます。そんな想いが、スターバックスのコーヒー豆かすを大切に次につなげる取り組みに強く共鳴しました。
コーヒー豆かすをリサイクルし、ループを実現する
スターバックスは2020年1月、「リソースポジティブカンパニー」になることを宣言しました。CO2削減、水の保全、そして廃棄物を削減しサーキュラーエコノミー(循環型経済)へと大きく舵をきることを目指しています。
スターバックスでサステナビリティを担当する高橋芽衣さんは「店舗から出るもっとも多い食品廃棄物は、コーヒーの豆かすです。以前からコーヒー豆かすを再利用する取り組みを重ねてきましたが、今後はよりスピードアップしていきます」と語ります。
エシカルソーシング・サステナビリティチームの高橋芽衣さん
「食べる」ことがサステナブルな未来につながる
お客様がコーヒーを楽しんでいただいた後に残るコーヒー豆かすを、またお客様のもとへ。この循環は、抹茶という農作物を「つくる」こと、そして農作物を「食べる」ことをつなぎながら、めぐり続けていきます。
「抹茶クリームバー」(写真左)と「根菜チキン サラダラップ」(同右)
根菜チキンサラダラップのトルティーヤの緑色は抹茶によるもの
このコーヒー豆かすたい肥で育てた抹茶は、5月26日(水)から全国の店舗で販売している「抹茶クリームバー」と「根菜チキン サラダラップ」に使われています。
萩村さんは、コーヒー豆かすたい肥でつくった抹茶の商品が発売されることの感慨を、この日一番の笑顔で語ってくれました。
「この抹茶の商品が全国で販売されることになって、今改めて、良い循環の一部になれたことを嬉しく思います。私にできることはお茶を育てることだけですが、スターバックスさんや、スターバックスを訪れるお客さんと一緒に、循環する社会をつくることに貢献していけたらと思っています」
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