伝統文化「かまくら」が紡ぐ、横手市とスターバックスの絆

「地元を盛り上げたい」という思いから参加した横手の雪まつり


「地元を盛り上げたい」という思いから参加した横手の雪まつり

「今年は見られないと思っていたからすごく嬉しい!」スターバックス コーヒー 横手店の窓際で笑顔を見せる女性ふたり組。眺めているのは、直径・高さ3mの大きな「かまくら」です。

同店舗で2021年2月12日から15日までの3日間展示していました。

かまくらは降雪地帯における子どもの雪遊びとしてよく知られますが、横手の住民にとってはとくに思い入れのある郷土文化。横手のかまくらは約450年の歴史があり、毎年2月には「横手の雪まつり」によって市内全域に約80基のかまくらが造られ、住民は甘酒や餅などを楽しみます。しかし今年は新型コロナウイルスの影響で祭りの規模が縮小、例年行っているメイン会場のかまくら展示が中止となりました。そうした状況のなか、地元横手の観光協会から提案があったのが、スターバックス コーヒー 横手店店頭でのかまくら展示でした。


横手店が誕生したのは2020年4月のこと。しかし、スターバックスと横手市は、10年以上も前から交流を続けてきました。スターバックスのパートナー(従業員)が地域に対して感謝の気持ちを込めて自主的に行う活動「コミュニティ コネクション」の取り組みとして「横手の雪まつり」に参加、来場者にコーヒーサービスを行ったことがきっかけです。

雪まつりへの参加を発案したのが、当時イオンモール大曲店のパートナーだった、現・横手店シフトスーパーバイザー(時間帯責任者)の間 美穂さんです。「地域貢献をしながら、まだ地元では認知度が低かったスターバックスの事も知ってもらえたら嬉しいという想いで提案しました」(間さん)

雪まつり参加のきっかけを作った横手店の間さん


イオンモール大曲店は秋田県南部初の店舗として2008年にオープン。横手市増田町出身の間さんは過去に「ミスりんご」として活動していた経験から、横手市観光協会とのつながりがありました。それからとんとん拍子に話が進み、2009年、初めてスターバックスが祭りに参加。1年目は屋内の会場でのコーヒーサービスだけでしたが、翌年からはスターバックス用のかまくらを1基用意してくれるようになりました。


秋田県全域の店舗が協力。地元の方からの「おかえり」の声が励みに

横手の雪まつりのようす。

「かまくらの中だとコーヒーの香りがよくわかる!」という声も


雪まつりは、大曲店だけでなく、秋田県内のほかの店舗も協力して行われてきた。横手店がないころは、もっとも近い店舗でも会場まで約20㎞の距離があり、2,000杯分のコーヒーをいれるための資材を運搬しなければいけません。さらに各店のシフト調整など、ふだんの仕事に加えての準備が必要でした。「でも、苦労を上回る喜びがあるから、みんな横手の雪まつりへの参加を楽しみにしているんです」と、ディストリクトマネージャー(地区担当マネージャー)の櫻木 芳樹さんは声に力を籠めます。

「『また来てくれたの、おかえり』。そう地元の方に言っていただけると、どんなに大変でもまた行こうと思えてしまう。関わっているパートナーみんな、同じ気持ちで参加してきたと思います」(櫻木さん)


雪まつりでは来場者にコーヒーをサービス


初めはコーヒーサービスだけでしたが、コーヒーのいれ方講座をしたり、リクエストで物販も行ったりと年々内容はグレードアップ。観光客はもちろん、「横手でスターバックスのコーヒーが飲めるなんて」と地元の人たちにも喜ばれ、毎年楽しみにしているという声が聞けるようにもなりました。


「毎年、自然と『よし、今年もスタバのかまくらつくるべ!』って言いながら準備しているんですよ」と語るのは、横手市観光協会の小西春奈さん。

「スターバックスさんが秋田県に店舗が増え、忙しくなってからも、雪まつりには毎年参加して盛り上げていただいて。気づけばもう10年以上ですね。最初は人と人とのつながりだったのが、店と地域とのつながりになった。スタバにはおいしいコーヒーがあるだけでなく、地元とのこんな交流があることがうれしいです」(小西さん)


雪まつりへの出店を重ねるごとに「市内にお店はいつできるの?」と聞かれることも増え、次第に秋田県内のパートナーの中でも「横手市にスターバックスを!」という想いが強くなっていきました。


コロナ禍のオープンも、雪まつりでできた絆があとおし

県南唯一のドライブスルーがあるのも、地域性を考えたから。

「地域に必要とされる店でありたい」と横手店ストアマネージャーの佐藤 大さん


満を持して、横手店がオープンしたのは2020年4月のこと。しかし、コロナ禍の緊急事態宣言下という前例のない状況と重なることになりました。パートナーのトレーニングや内覧会など、事前イベントはすべて中止。このなかでオープンしてもいいのかという厳しい声がある一方で、楽しみにしているという声もありました。「正直、不安でした」とディストリクトマネージャーの櫻木さんは当時を振り返ります。


ディストリクトマネージャー(地域担当マネージャー)の櫻木さん


「テイクアウトのみの対応で迎えた初日。いれたてのコーヒーを手にした地元の方々に『大変だけど頑張ってね』『待ってたよ』と声をかけていただきました。雪まつりでの交流で私たちを知っていただいていたから、厳しい状況でも温かく迎え入れてくださいました。声をかけていただいて、オープンできて良かったと心から思えました」(櫻木さん)


祭りに参加して13年。「スターバックスにかまくらを!」と地元から提案

店舗前にかまくらをつくる職人のみなさん。雪集めはパートナーもお手伝い


横手店のかまくらは2日間かけて、かまくら職人の方が4人で制作。かまくら職人の一人、新山 聡さんは「例年に比べて今年は市内でかまくらを見る機会が少なくなってしまったので、こうして見てもらえる機会が増えてよかったです。心を込めてつくりました」と語ってくれました。また制作の合間には職人のみなさんから横手店のパートナーへ、かまくらの歴史を紹介する「横手のかまくら文化を知ろう!」という講座も開かれ、交流を深めました。

2021年2月12〜15日まで、かまくらを眺めながらコーヒーを


最後に水神様を祀り、完成したかまくらのお披露目は2月12日。冬晴れの青空の下、真っ白なかまくらが訪れる人々の足を止めます。店内からもかまくらが見え、訪れたお客様にも、コーヒーとともに地元ならではの風景を楽しんでいただきました。

「店にかまくらを展示することは夢でしたので、こんなに早く実現するとは思いませんでした。いろいろな世代が過ごす必要とされる場所として、この店があることが地元の元気につながるといいなと思っています」と櫻木さんは話します。

かまくらの展示に合わせて、かまくら文化を紹介するボードを掲示

横手店の店内。中央の長テーブルは秋田県産の杉を使用

壁には横手市十文字町の伝統工芸品「十文字和紙」を使ったアートを展示


横手店は、店内インテリアにも地元への想いがあふれています。中央長テーブルは秋田県産の杉でつくったもの。壁には、十文字和紙に描かれたアートが飾られています。コーヒーを片手に、笑顔で空間そのものを楽しむ地元住民のみなさんの姿が、そこにはあります。

かまくら展示によって、いっそう地域との絆が深まった横手店。2月15日の展示最終日には、かまくらにろうそくを設置し、点灯が行われました。暖かな光を眺める横手店パートナーたちの心には「地元にこれからも寄り添っていく」、そんな決意が灯っていました。

0コメント

  • 1000 / 1000